白シャツを恋い慕う

つれづれなるままに…おたく

月組夢現無双雑記

月組の『夢現無双/クルンテープ 天使の都』をみました。

本公演を5月9日ソワレ、新人公演を5月16日のソワレに一回ずつ拝見しました。

サヨナラショーを見にライビュにはいくことが出来るのですが、とりあえず現時点で感想を書いてみることにしました。

 

今年に入ってから宝塚に久々に担当?贔屓?(まあなんでも良いのですが今までの贔屓へのスタンスとは明らかに違うので担当という方が実はしっくりくる)とりあえず応援したい方が出来てから、馬鹿みたいに宝塚自体の観劇数が増えたので、消化する間もなく観たらダメだよという戒めを込めながら書いています。


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本公演を見終えた感想としては「何故この結末!?」というのが大きくて、小次郎が何故死なねばならないのか、それは武蔵がその後虚無に苛まれる要因が必要だからという理由に正直戸惑っていました。

スターさんの背景を勝手に想像するのは、私の勝手なことだとしても、強さだけを求めて強い人を斬って虚無感に苛まれるというのは、今まで歩いてきた道を、その道にいた人々をあまりに蔑ろにしていないかい?という話です。今までが無駄だったかのように、父と沢庵と鍬のおじいさんのトリオに畳み掛けられているのも、今までやってきたことを背負って立てよ!と感じてしまいました。

武蔵から他を切り捨てていくまでの切実な野心を感じなかったのも大きいのかな。つかみ取った選んできた人生というより、流された人生のようなそんな感じ。

トップさんのこれまでのジェンヌとしての生き方と武蔵の生き方が変な部分だけマッチして爆発って感じでした。

別に悪口とかそういうことじゃなくて、なんだかなあ、やるせないなあと思う話でした。

場面転換下手すぎ!みたいな演出家に対する明確な怒りとも違って、どう気持ちを昇華させればいいのかわからなかった。

不思議だねえ、宝塚って。でも役と演者の背景を総合させてみることが出来ることも宝塚の魅力だから、やっぱり最終的な責任は演出家なのかな。

斎藤くんはちょっとショーやって気分転換してきて欲しい。次の月終わったら予定ないよね。あ、脚本と題材以外だと宝塚で殺陣音取りすぎたら安っぽくなるからそれだけは普通に嫌です。

 

 

一週間後、新公をひょんなことから見ることになり、武蔵のことを丁寧に見ていくと、単純な主人公ステップアップ型少年漫画の構図が見えました。

最近はジャンプでも何でもカリスマ性のある主人公が仲間たちと行動するより、主人公もパーツの一部で皆で協力しようとする新時代型主人公が増えているように感じるけれど、これは明らかに前者。武蔵という題材がちょっと古い少年漫画の構図なんだと気づくと物語がすんなり理解できました。

そして風間くんの武蔵の荒々しさは若さが作り出せる等身大で青臭い部分と抜群の歌唱力、舞台度胸の双方に好感がもてました。

まあ結局四の五の言うより、武蔵が一番強いといわれても納得出来る様々な技術を持っていたから納得した。それにつきる。又八の英くんも、小次郎の蘭くんも上手かった。沢庵の朝陽くんも健闘していた。その中でも天下無双だと言われて出てきた武蔵が一番うまかったら納得するという話でした。

あと武蔵は単純に若手特有のまっすぐさがはまる役だとは思った。男役としての歴がなんだか邪魔をすることもままあることで、オスカルとかエリックとか色々思い当たることはあると思うんだけれど、今回もそんな感じ。

新公の武蔵は何だか全然嫌いじゃなかった。

むしろこういう目線で本公演も見ればいいのかなあという勉強になった。

ところで作品のキャラクターが多すぎて本公演の風間くんは全部終わってから「もしかして、あれ?」って友人に聞いたよ。次回からは私も頑張ります。あと代役頑張ってください。

 

そして小次郎。

本公では何か意味があるに違いないというアンテナを強くしすぎたように思う。

サヨナラをこちらが意識しすぎていたともいえるのかな。美弥さんがでてくるだけで何かあるんじゃないかと思わせるもんだから、新人公演を見たことでその存在は実はただかっこよさに特化したものだとわかった。本質は強くなりたくてライバルを挑発する中二病男なのだと発見しました。

強くなれ!とかいって消えていく、消される人は斉藤作品の常套手段なんだよね(エルアルコンの育ての親殺し、さらに殺されるティリアン)

まあ、今やらなくてもいいじゃないとか言う話はある。

ともかく本質が分かったので、次以降は楽しめるんじゃないかなと思ったりしています。蘭くんもさすがの立ち居振る舞いだった。メイクや姿も本役に寄せていて、友人一押しの蘭くん、大きなお役でよかったねえというばあやのような気持ちにもなりました。

 

 

その他スターさんの話をすると

又八は月城かなとの十八番なんだろうな。だらしなくて軽快でポニーテールも本当に似合っていてよかった。ショーの月城かなとは紛れもない月城かなとなんだけれど、芝居の月城かなとは流石壮・早霧の新公やった人だわといつも思う。入り込み方やビジュアルの見せ方、役作りが本当に好きです。娘役さんに囲まれるところの華やかさはちぎちゃんじゃなく、えりたんゆずりなんだなあとくすっとした。他にもコメディを一手に引き受けていたのでいっぱい笑わせてもらいました。

今週休演が発表されて心配ではあるのだけれど、しっかり治してください。待っています。

 

清十郎さんありちゃんは出てくるだけでかっこいい!と思っていたけれど、その佇まいがいよいよ新公外だなあという感じがしました。輝月ゆうまを従えてこそ(月組の)男たるもの!感が出てくるような気がしている。なんだか無性に成長を感じた。

夢奈蓮はいつもとイメージが逆で面白かったし、熱いるねちゃん好き。

父ゆりちゃんも新境地で良かったです。渋いゆりちゃんの髭にも魅力を感じてきました。

海ちゃん太夫も流石のお芝居で、美しかった。

文句なしの沢庵組長、婆の副組長。芝居の月らしい名芝居でした。

いわゆる駄作の部類をみると、駄作でもこんなに頑張ってくれてありがとうの気持ちが拭えません。

 

あとは若手だと

結愛かれんちゃんの子役としての上手さもさることながら、新公太夫の芝居の説得力は良かった。高すぎない聞きやすい声で、妹役者だけじゃないんだぞという感じがしました。グラフで白雪さち花姉さんのお手伝いについているといっていたので、芝居の月娘として頑張ってほしいなあと期待が高まりました。

天紫ちゃんも新公ヒロイン良かったです。歌がうまくて素朴さがあるタイプで、結愛ちゃんとのシンメは持ち味の対称がいきていて良いのでこれからも楽しみです。

あと新公では白河、羽音の103娘がめちゃくちゃ可愛いなあと思い、次回に期待。なんだかねねれみのような持ち味しません?

 

ショーの話を何もしていないのに、2500字を超えてしまったので、簡潔に言うとショー自体の構成は悪くなかったです。でも題材がタイである意味が分からなかった。本当にそれにつきる。(無難なお酒の名前と普通の化粧だったらここまでとやかく言われないだろうに)

美弥ちゃんの持ち味が娘役とのデュエットダンスじゃないのは分かっていたけど、夢現を引きづっているとよく分からない感じになるので次は絶対にリセットしてみたいなと思いました。ただ美弥さんの足の甲ばっかりみてしまった。美しかった。

月城VS暁の「頭の悪いキムシン」の場面(友人命名)もよかったし、さくらちゃんのセマニフィークは男役がかっこよくて忙しかったし、黒燕尾もシンプルでよかった。

藤井大介お得意の男3がナイフを振り回す伝説(ありちゃんの女装のシーン)も目が足りないぐらい良かった。白マフラー良かった。ありちゃんもよかった。

デュエットダンスは見ごたえのあるリフトから一緒に銀橋にいって、一緒にはけるのが近年なかったこれぞ、デュエットダンス!!という演出でよかったです。

 

なんだか慌ただしい公演ですが、無事に千秋楽を迎えられるように祈っています。

月組はその後OTTは東京で見たので、今回は見ないと思います。ゲバラは見るかもしれない。