白シャツを恋い慕う

つれづれなるままに…おたく

明日への希望を失ってはならない@王家に捧ぐ歌

宝塚歌劇団宙組朝夏まなとトップお披露目公演「王家に捧ぐ歌」を8月6日(ソワレ)、8日(ソワレ)と見てきた。

東京宝塚劇場に入るのは約1年半ぶり!

これからしばらく宝塚は宙の朝夏実咲コンビと雪の早霧咲妃コンビがやめるまでは生で大劇場公演ぐらいは見ようかな…?というスタンスで行こうと思っている。

 

 

※全体の構成

ほぼ03年星の初演と変わらず。ファラオのブランコやスゴツヨの振り付けまで同じ。

配役が変わらない人も衣装が変わらない人もいる中、朝夏ラダメスと実咲アイーダの配役(トップコンビの恋愛もの)に思いきってくれたので作品自体の印象が違う。

「国の平和」よりとにかく「愛」だった。

余談だけれど、発表当初は七海さんの組替えが発表されておらず、これは初演通りに七海アイーダ実咲アムネリスなら見に行かない!と思った記憶がある。トップコンビに、というか実咲に恋愛物をありがとう、キムシン。

 

6日にみた時はずっと涙が止まらなかった。「月の満ちる頃」から泣き始めて、ファラオの死辺りからアムネリスの芝居、二人の死に様に大号泣。燕尾で朝夏さんが0番に!っていう所でも涙していて、パレードまでぐずぐず泣いた。

トップコンビと内容が良いので、暇だから脇を見ようなんてつまんでいる時間がほとんどなかった。

「コーラスの宙」はまだまだ健在で、一幕終わりの「世界に求む」の迫力と聞きごたえに感動。個々に上手い人(七瀬、百千など)が抜けた印象はあるけれど、コーラスは圧巻。

 

全体の流れとしては、ラダメスとアイーダの馴れ初めを入れて欲しいなと思いました。DVDで初演や中日版を見てもあまり気にならなかったのですが、今回は「愛」に重点を置いたようにも思えるので「いつ」「どのように」出会ったのかは非常に気になるし、アイーダに入り込みやすくなるのでは?と思う。

女官と美人選びを短くして(今回謎の変更してたけど)、かわりに初めの戦いと馴れ初めにして欲しい。 初めから互いがどのテンションで惹かれ合っているのかが少しピンとこない。

美人選びはキムシンあるある「町人に皮肉言わせよう」のターンって分かっているからこそ、結構つらい。でも下級生ファンには大切なシーンなのも分かるから、あんまり言わないけど。

 

最後のアムネリスの台詞が「我々は決して平和への希望を失なってはならないのです」が「我々は決して明日への希望を失なってはならないのです」に変更されているのと

ウバルド「やり直したって同じだ。何度でも復讐してやる」の追加、アモナスロの鳩の下りの聞き覚えのない単語の3つが気が付いてルサンクを見た正確な台詞の変更点。

他にもあるのかもしれないけれど、どれも12年経てもまだ戦争の続く世の中へのキムシンなりのメッセージなのかもしれない。

特にアムネリスの台詞はこれから先の未来に平和を!のイメージ以外にもラダメスとアイーダの愛の続きが幸せであるように祈っているかのような印象も受けてしっくりくる変更でした。愛しあう人たちへの明日が見えたようなそんな気がしました。

 

フィナーレで朝夏さんが黒衣装で一人で踊る所は二階からみたら綺麗な輝き模様(星とかが印字されてる)の照明で多分初めてみた。 あんな綺麗な柄あったんだなーと思いました。トップスター!という感じがしたのとその後2番手真風さんの登場は「ザ・宝塚」でよかったです。ちなみに藤井先生が耽美だと思っているシーンに必ず入れてくるてっぱんの紺赤黄の模様はデュエダンにありました。あの模様嫌いじゃないけども…

 

 

※役者さん(ジェンヌさん)

朝夏ラダメスと実咲アイーダはとにかく愛をまっすぐに感じる人でした。それぞれの国を背負っている姿は意識した表現よりも気高さで体現していたように思う。

例えば湖月さんは軍隊の将軍以外の何物でもなかったけれど、朝夏さんは爽やかな青年将軍という印象。

位の高さは自身の気高さで表しているような感じ。

朝夏ラダメスはエジプト将軍の熱気!っていうよりは爽やかな人だったし、ラダメスの優しい繊細な心と朝夏さん自身の優しさが合っていた。

二幕終わりの暗闇の中に希望を見出だす姿が一番素敵でした。

オフではチャラっとしたキャラクターになりつつあるけれど、朝夏さんは女性を引っ張るより女性のために尽くす優しい役の方が似合っているなと思いました。

しかし、歌上手くなった。全体的に安定していて聞きやすかった。

 

 実咲アイーダは気品や佇まいが王女だった。

苦手とする感情を表す芝居がもうちょっとのびたら良いけれど、歌がほぼパーフェクトだから流石。

6日に「アイーダの信念」をちょっと外した時にはびっくりしたけれど、二幕は持ち直していたし歌唱力は武器だな。

とうこさんはすごく信念もパワーも全開な人だったけれど、実咲アイーダは芯は強くとも決して押し出しが強いわけではなくて「娘役」が演じているなというのをひしひし感じました。

容姿のタイプは違うのだけれど見た目の説得力と気品が花總さん系統の芝居だと友人に言われてから、確かに一人で立てるかつ男役を支えるのパワーバランスが似ているのかもと思い始めた次第。

 

怜美アムネリスは歌唱力の不安定さはあるとしても立派な女王でした。彼女の憂いをおびた役が好きだったのだけれど(銀河英雄伝説新人公演アンネローゼなど)これはまた新たな一面でした。

6日「ナイルの流れのように」で盛大に外していてまじか…となったのに、二幕登場からは非常に力強く安定していて別人のようなのは何故なんだろう(笑)

あの紫の衣装をまとうと強くなるんだよな、怜美アムネリス。

なんでもほしがるお嬢様の我が儘のような「ファラオの娘だから」からシーンを重ねてラダメスを本当に愛していくような感じがした。我儘。政略だからという所を通ったのちに、二幕ではどんどんラダメスを愛して大人の女性になっていくような劇中の成長が見える。少女の面影は残したまま、凛とした佇まいのアムネリス。

壇ちゃんで死ぬほど好きだったシーンを全部別物で仕上げてくるし、少女のままの強さというのかな。そんな印象でした。

特にファラオが死んで自らがファラオになる下りのきりっとした表情は美しく、ラダメスへの最後の叫びも悲痛でとても胸に刺さりました。

男役ありきの宝塚なんで軽率にトップを望めないけれども、こういった形で娘2としてばりばり活躍し続けてほしいです。

 

 初演メンバーのアモナスロとファラオ

王家だけでなく言えますが、「理想の男性」を演じてるのは決して路線スターさんだけでなく専科さんの父親にいたるまで「理想」なんだな。と思いました。外部だとやっぱり生々しすぎたり過剰だったりしてどこか共感しきれないことが、専科のおじさま(笑)にかかると泣ける話になりました。

多少音を外したりするけれど、お二人ともお芝居の熱はすごくて。固執、親子関係、悲しみ、懐の深さ。決して良い人の役じゃないのに共感出来る。

一樹さんはロミジュリキャピレット卿の熱演で号泣したのも記憶に新しいです。二幕のソロが切なかった。

 

 路線スターだと、一幕終わりの真風の反抗するような蔑むかのような目とアモナスロとの芝居&ラダメス処刑前につらさを堪えきれてない愛ちゃんの芝居がよくて、スターさんとして着実なステップアップを遂げているのに気がついた。

澄輝は記憶の中の真飛さんの貴公子部分と近くて、蒼羽はダンスだけじゃなく優しい歌い方が出来るようになっていてびっくり。でも階段下りさせてあげてほしいし、この段階でのサポート的役回りは春風さんを思い出すなあ…

 

 

エチオピア(女性)は歌まあまあなメンバーなのに歌詞聞き取りづらくて、エリザベート慣れしてたからびっくりした。桜音ちゃん流石だし、小春乃ちゃん頑張って。

風馬翔の「100人のっても大丈夫」感はやばいし、いつもリフト下でやってきたのについにその座を下級生に譲ってたなー。94期がすでに新人公演外とか…時がたったなと浦島太郎な私は思いました。

和希そらは相変わらずかっこいいけど面白くて、思わずオペラで見ていました。フィナーレだけオールバック風味とかずるい。

エジプト軍の総踊りに真田くん系のがしがし踊る風馬と軽く踊る安井くん系の和希隣にして、伝令まで一緒とか本気で笑える。一幕のプチ楽しみ。

要所要所でもんち使えば良いと思ってる芸がいまだ続いていて、思わず笑ってしまった。あとラダメスの台詞の時に美月を捕まえたまましゃべってるのも面白い。

エチオピアはもんち美月はじめパッションとかもいて戦闘力高すぎて笑える。多分がちな戦闘なら勝てると思うんだな(何の話)

あと、エジプトは風馬のよこで花菱ちゃんががつがつ戦ってて、さすが宙娘大海亜呼の血統強すぎだな。そしてあこ様退団公演お疲れ様でした。

 

 

 ※巡りあわせのコンビ

 実咲花配属後すぐのえきさいたー(呪いのどんぐり編の時)研1抜擢でファッションショーのシーンで朝夏さんと白い衣装で組んでいたのを見ていてたので、改めて白のデュエダンみたら思い出して泣けてきてしまって。

花影アリスばりに ほっそいちっさいみりおんと花のどん詰まりの中にいたまーさまが再び巡り会うのか。運命的だなー。と思わざるを得ないのです。

明日海蘭乃が一時的に新人公演組んでからトップで組んでいたけれど、バウ(しかも他組)で組んで、実咲が先にトップになって…という流れを考えるとそれだけで感動するんです。

 

実咲さんに関しては、壮さんとカナリア、カノンデュエダンと組んで距離感が遠くなってしまうのをあれやこれや鍛えられていたのは見ていたので、凰稀さんと組んでいた時も作品は見ているはずなのに、また実咲就任おめでとう!!という気分になってしまった。

ちょっと時間があいたせいでもあるけれど、恋愛ものの効果かな?

朝夏さんは「トップになるための子」と言われ続けるも実力が周りに追い付かず…望海さんは出来る子だし。みたいな昔の話を思い出してこれまた泣きそうになって。

自分が初めて見たころに若手、新人公演メンバーだった人が現実にトップになるとこんなにもうれしいのだなと思いました。

二人が組んだ「コードヒーロー」もばっちり通ってるので最早私にとって青春でしかないです。おたくやってて良かった。

あと群舞の朝夏さんの「ふぉう」という掛け声が花組育ちの掛け声でそこでも泣きました。その瞬間に朝夏さんの上にいた花のスターさん達が頭の中でよみがえってきたのです。掛け声は本当に花育ちないしは花通過している人に限るな。

 

これからの宙組に平和が訪れますように。

イケコミューと稲葉君と上田先生あたりがきますように(邪念)