白シャツを恋い慕う

つれづれなるままに…おたく

個人的に中毒性の高いプレイリストを作った話

世の中に歌が上手い人の曲を集めたCDはある。当たり前だが需要がある。すみれの花もさよなら皆様も多くの人が上手いと思っている人が歌うべきだ。まったく異論はない。

だから、歌でフフっとなってしまう人のアルバムはあまりない。勿論トップさんであれば何らかの形でCDになっていたりするけれど、別に私はその人のファンというわけじゃないから全曲はいらない。ということで今まで聞いてフフっとなるかつ中毒性の高い曲を10個選んでプレイリストにしてみたいと思う。

需要はないと思うが、私が楽しい。何があっても放っておいてほしい。

 

別に歌が下手ということが選定の基準ではなく、味わい深く中毒症状となることが選定基準だということを申し上げておきたい。スターオーラで誤魔化されてきたけれど、今何言ってたんだ?となる歌を発掘していく。

一応標題に挙げたものは、現在TCAサイトから入手可能な曲のみに絞ってある。それ以外はスカステやDVDなどでは入手可能な場合がある。

以下下級生順にお送りしたい。

 

エントリーナンバー1 愛月ひかる「堕天使の子守歌」(異人たちのルネサンス

最近の私の圧倒的アイドル愛月ひかるからは「堕天使の子守歌」(異人たちのルネサンス)を挙げさせていただいた。そして子守歌というタイトルにもかかわらず最近の私の目覚ましである。

色濃い役であればあるほど元の粘度のある声と相まって愛ちゃんリスニングをする必要が出てくる。「な」が「ぬぁー」となる鼻にかかった愛ちゃんの歌声の面白さは音声も勿論だが、めちゃくちゃ芯があって堂々と歌うところだ。結局何だったんだ?と場面が終わってから思う。立ち姿がいい。

「血の黒太子」(天は赤い河のほとり)もかなり攻めている。「ニコライとプガチョフ」(黒い瞳)も真風との異種格闘技が楽しいので、配信が待ち遠しい。

 

エントリーナンバー2 七海ひろき他「S.T.A.R.S.」(THE ENTERTAINER!)

冒頭の四人から始まり、星組らしい豪華で愉快な面々による歌い継ぎが素晴らしい。スカステで初めて見た時から挙げると決めていた。私が最強だと思っていたコングラ東京代役版の中詰めを超えていく予想のつかなさ。最後に出てくる礼真琴が空気を読めずに普通にうまいので、今までの手に汗握る展開は何だったのかというところでもある。

一応楽曲クレジットでは一番上に来ていたので七海さんの名前を挙げた。

最近見たものでは「ビア祭り プロローグ」(霧深きエルベのほとりに)も礼→七海の絶妙すぎる歌い継ぎでめちゃくちゃ印象に残っている。声量が可愛らしい。

 

エントリーナンバー3 紅ゆずる 「ハイザハイ」 (霧深きエルベのほとりに)

先ほどの続きになるが、何の情報もなくエルベを観に行ってプロローグの後に酒場のシーンで紅さんが歌われていた。日本語なのか?もしやドイツ語では?いや何語?と頭を悩まされ、ノリと勢いのすごさにとめちゃくちゃ心を鷲掴みにされた。

人選としてはとりあえずマストで一曲探そうと思っていた人だったので、こちらにした。

紅さん絡みだとエトワールドタカラヅカの夢咲→紅→真風の歌い継ぎはめちゃくちゃすぎて楽しいのでこちらもおすすめ。LIVEDAMで「がんばれ!」と言いながら友人たちと鑑賞する。今更である。

 

エントリーナンバー4 早霧せいな 「居残り稼業」(幕末太陽伝)

こちらも近年の宝塚を語る上では外せない人物。かの有名なロミジュリのマーキューシオのソロ「マブの女王」を唱えだしたときに伝説は始まっていたのだけれど、どうやら版権で入手できないようなのであげるのをやめた。この曲にしたのは合間のふふっとかはっとかいうちぎちゃんの声が入るのがなんとも好きだからだ。ちぎちゃんの素ではなく、役の素の声だから流石だ。それにしてもパワーがすごい。絶対に誤魔化さずに真正面から立ち向かう感じがいい。リズミカルで一度聴いたらはまってしまう曲。

 

エントリーナンバー5 華形ひかる 「ル・ポアゾン愛の媚薬」の全て

私のちょっと前のアイドル。ショーの冒頭の出オチ感がすごい。そしてみつるさんとしてはかなりのソロがあるので最高だ。ここでは昔の歌を挙げたが、クオリティの維持がまた様々な意味で素晴らしい。最近昨年の星組「Killer Rouge」をスカステで拝見したところ、変わらぬ勢いであった。お芝居でのかすれ気味なかっこいい声が謎の音階になってもかっこいい人である。

 

エントリーナンバー6 壮一帆・愛音羽麗 「Metallic Night」(Exciter!!2010)

飛蘭寿政権の花はお二人がそろって歌われることが多く、こちらのチューニングが間に合わないとはて?となることがしばしばあった。それでもスターさんたるもの魅せる名作ショーが多かったのがこの時代の特徴である。絶対に「メタ〇リック」と聞こえるこの曲、かの名作エキサイターの中詰めなので姿はめちゃくちゃかっこいい。音声だけで聞いて初めて面白さを体感していただけると思う。

 

エントリーナンバー7 壮一帆 「僕はドンファンなんかじゃない」(麗しのサブリナ

先ほども紹介して一人だけ重複エントリーになるのだが、個人的に元祖何言っているのか分からない選手権の覇者なので別格である。多分音はあっているし声もいい。すごく気持ちよく聞いたけれどなんて言っているのか全く分からないのがえり語である。一番好きな全国ツアーエンターザレビューのコメディアンの場面(本公演は樹里さんである)が1ミリも聞き取れないのでそれにしようと思っていたがなかった。

というわけで映像では著作が切れてしまっているので放送はされないが、音楽だけなら聴けるこちらをお勧めしたい。コーラスがめちゃくちゃ豪華だ。クレジットに入っていないがこの場面、まーさまもだいもんもいる。

いや「CONGRATULATIONS宝塚!!」だって「CONGA!!」だって09花のジャッキーだって「インシャラ―」(愛と死のアラビア)だって「眠れ愛し子よ」(太王四神記)だって「世の中は金」(愛のプレリュード)だってすすめたい。

しかも「二人の絆」(愛のプレリュード)や「You Are My Own」(ファントム)のように泣かせるかっこいい歌もあるので、えり語の魅力は尽きない。

 

 

エントリーナンバー8 大和悠河 「宙FANTASISTA!!」(2)(宙FANTASISTA!!)

この手の物をやるときには外してはならない気がしたので入れた。コンビで音程がおかしくて、二番手の蘭寿さんも全部ふぉうってなっちゃうもんで、すべてのショーが楽しい。謎の中毒性という意味ではこの人からのちぎちゃんからの愛ちゃんの師弟路線で間違いない。中でも特に好きな「ダンシングフォユー」はなかったのでこちらを挙げさせていただいた。唯一無二の疾走感が味わえる。

 

エントリーナンバー9 水夏希 「君はモテモテ」(君を愛してる)

こちらも外してはならないような気がしたので入れた。そしてこれは木村信司の犯行として紹介しておきたかったのも大きい。スサノオがなかったので、君を愛してるから取りました。幕開きの葬式から大概だし、女装した男役(水さんよりでかい)たちの真ん中で開始15分でこんな歌詞をうたっているかと思うと本当にすごい。

君を愛してるの駄曲の連発っぷりは近年ではもう見れないなかなかなクオリティなのでエジプトがすごくて強いのが好きな方はぜひ見てほしい。お気楽に生きられるようになること間違いなし。

後大和・水が同じ空間にいるショーとしては「レビュー伝説~ジジのテーマ」(レビュー伝説)もおすすめしたい。周りの方々も味わい深い。

 

エントリーナンバー10 大空佑飛 「ロック鎌田」(銀ちゃんの恋)

渋い歌は普通に渋くただかっこよく聞けるのだけれど、テンション高い感じになるとふふっとくるのがこの人。「ファンキーサンシャイン」のソーラーパワーを感じろ!!も大概なんだけれど、あえて知る人ぞ知る路線で攻めてみた。お芝居自体はめちゃくちゃいいので普通におすすめ(特に花版、6月にスカステでやるよ)フィナーレで羽根を背負ってのこのロック調、癖になる。

 

(番外編)春野寿美礼のトップ在任後期

多くの人が認める歌が上手い人なのだけれども、特にトップ後半は本当に何を言っているのか分からないので番外編としてエントリーさせていただいた。明智小五郎の「プロポーズ」シリーズは壮真飛春野が順番にプロポーズするなんともおかしな曲(これも木村信司)だし、エンターザレビューは歌詞も分からない。がめちゃくちゃにうまい。

 

 

さて、こんな感じでしめさせてもらいたい。

研10以下の若手に関しては今後勉強していきたいと思う。

これは5月の締め切り設定に全ての物を間に合わせようとする過剰なストレスから生まれた副産物なので(無事本日すべて入稿した)お見苦しい点もあろうが、もし見て下さった方がいるとするならば、楽しんでいただけたら幸いだ。 

そして何かネタが欲しい今日この頃である。

 

月組夢現無双雑記

月組の『夢現無双/クルンテープ 天使の都』をみました。

本公演を5月9日ソワレ、新人公演を5月16日のソワレに一回ずつ拝見しました。

サヨナラショーを見にライビュにはいくことが出来るのですが、とりあえず現時点で感想を書いてみることにしました。

 

今年に入ってから宝塚に久々に担当?贔屓?(まあなんでも良いのですが今までの贔屓へのスタンスとは明らかに違うので担当という方が実はしっくりくる)とりあえず応援したい方が出来てから、馬鹿みたいに宝塚自体の観劇数が増えたので、消化する間もなく観たらダメだよという戒めを込めながら書いています。


f:id:th07th:20190516221028j:image

 

本公演を見終えた感想としては「何故この結末!?」というのが大きくて、小次郎が何故死なねばならないのか、それは武蔵がその後虚無に苛まれる要因が必要だからという理由に正直戸惑っていました。

スターさんの背景を勝手に想像するのは、私の勝手なことだとしても、強さだけを求めて強い人を斬って虚無感に苛まれるというのは、今まで歩いてきた道を、その道にいた人々をあまりに蔑ろにしていないかい?という話です。今までが無駄だったかのように、父と沢庵と鍬のおじいさんのトリオに畳み掛けられているのも、今までやってきたことを背負って立てよ!と感じてしまいました。

武蔵から他を切り捨てていくまでの切実な野心を感じなかったのも大きいのかな。つかみ取った選んできた人生というより、流された人生のようなそんな感じ。

トップさんのこれまでのジェンヌとしての生き方と武蔵の生き方が変な部分だけマッチして爆発って感じでした。

別に悪口とかそういうことじゃなくて、なんだかなあ、やるせないなあと思う話でした。

場面転換下手すぎ!みたいな演出家に対する明確な怒りとも違って、どう気持ちを昇華させればいいのかわからなかった。

不思議だねえ、宝塚って。でも役と演者の背景を総合させてみることが出来ることも宝塚の魅力だから、やっぱり最終的な責任は演出家なのかな。

斎藤くんはちょっとショーやって気分転換してきて欲しい。次の月終わったら予定ないよね。あ、脚本と題材以外だと宝塚で殺陣音取りすぎたら安っぽくなるからそれだけは普通に嫌です。

 

 

一週間後、新公をひょんなことから見ることになり、武蔵のことを丁寧に見ていくと、単純な主人公ステップアップ型少年漫画の構図が見えました。

最近はジャンプでも何でもカリスマ性のある主人公が仲間たちと行動するより、主人公もパーツの一部で皆で協力しようとする新時代型主人公が増えているように感じるけれど、これは明らかに前者。武蔵という題材がちょっと古い少年漫画の構図なんだと気づくと物語がすんなり理解できました。

そして風間くんの武蔵の荒々しさは若さが作り出せる等身大で青臭い部分と抜群の歌唱力、舞台度胸の双方に好感がもてました。

まあ結局四の五の言うより、武蔵が一番強いといわれても納得出来る様々な技術を持っていたから納得した。それにつきる。又八の英くんも、小次郎の蘭くんも上手かった。沢庵の朝陽くんも健闘していた。その中でも天下無双だと言われて出てきた武蔵が一番うまかったら納得するという話でした。

あと武蔵は単純に若手特有のまっすぐさがはまる役だとは思った。男役としての歴がなんだか邪魔をすることもままあることで、オスカルとかエリックとか色々思い当たることはあると思うんだけれど、今回もそんな感じ。

新公の武蔵は何だか全然嫌いじゃなかった。

むしろこういう目線で本公演も見ればいいのかなあという勉強になった。

ところで作品のキャラクターが多すぎて本公演の風間くんは全部終わってから「もしかして、あれ?」って友人に聞いたよ。次回からは私も頑張ります。あと代役頑張ってください。

 

そして小次郎。

本公では何か意味があるに違いないというアンテナを強くしすぎたように思う。

サヨナラをこちらが意識しすぎていたともいえるのかな。美弥さんがでてくるだけで何かあるんじゃないかと思わせるもんだから、新人公演を見たことでその存在は実はただかっこよさに特化したものだとわかった。本質は強くなりたくてライバルを挑発する中二病男なのだと発見しました。

強くなれ!とかいって消えていく、消される人は斉藤作品の常套手段なんだよね(エルアルコンの育ての親殺し、さらに殺されるティリアン)

まあ、今やらなくてもいいじゃないとか言う話はある。

ともかく本質が分かったので、次以降は楽しめるんじゃないかなと思ったりしています。蘭くんもさすがの立ち居振る舞いだった。メイクや姿も本役に寄せていて、友人一押しの蘭くん、大きなお役でよかったねえというばあやのような気持ちにもなりました。

 

 

その他スターさんの話をすると

又八は月城かなとの十八番なんだろうな。だらしなくて軽快でポニーテールも本当に似合っていてよかった。ショーの月城かなとは紛れもない月城かなとなんだけれど、芝居の月城かなとは流石壮・早霧の新公やった人だわといつも思う。入り込み方やビジュアルの見せ方、役作りが本当に好きです。娘役さんに囲まれるところの華やかさはちぎちゃんじゃなく、えりたんゆずりなんだなあとくすっとした。他にもコメディを一手に引き受けていたのでいっぱい笑わせてもらいました。

今週休演が発表されて心配ではあるのだけれど、しっかり治してください。待っています。

 

清十郎さんありちゃんは出てくるだけでかっこいい!と思っていたけれど、その佇まいがいよいよ新公外だなあという感じがしました。輝月ゆうまを従えてこそ(月組の)男たるもの!感が出てくるような気がしている。なんだか無性に成長を感じた。

夢奈蓮はいつもとイメージが逆で面白かったし、熱いるねちゃん好き。

父ゆりちゃんも新境地で良かったです。渋いゆりちゃんの髭にも魅力を感じてきました。

海ちゃん太夫も流石のお芝居で、美しかった。

文句なしの沢庵組長、婆の副組長。芝居の月らしい名芝居でした。

いわゆる駄作の部類をみると、駄作でもこんなに頑張ってくれてありがとうの気持ちが拭えません。

 

あとは若手だと

結愛かれんちゃんの子役としての上手さもさることながら、新公太夫の芝居の説得力は良かった。高すぎない聞きやすい声で、妹役者だけじゃないんだぞという感じがしました。グラフで白雪さち花姉さんのお手伝いについているといっていたので、芝居の月娘として頑張ってほしいなあと期待が高まりました。

天紫ちゃんも新公ヒロイン良かったです。歌がうまくて素朴さがあるタイプで、結愛ちゃんとのシンメは持ち味の対称がいきていて良いのでこれからも楽しみです。

あと新公では白河、羽音の103娘がめちゃくちゃ可愛いなあと思い、次回に期待。なんだかねねれみのような持ち味しません?

 

ショーの話を何もしていないのに、2500字を超えてしまったので、簡潔に言うとショー自体の構成は悪くなかったです。でも題材がタイである意味が分からなかった。本当にそれにつきる。(無難なお酒の名前と普通の化粧だったらここまでとやかく言われないだろうに)

美弥ちゃんの持ち味が娘役とのデュエットダンスじゃないのは分かっていたけど、夢現を引きづっているとよく分からない感じになるので次は絶対にリセットしてみたいなと思いました。ただ美弥さんの足の甲ばっかりみてしまった。美しかった。

月城VS暁の「頭の悪いキムシン」の場面(友人命名)もよかったし、さくらちゃんのセマニフィークは男役がかっこよくて忙しかったし、黒燕尾もシンプルでよかった。

藤井大介お得意の男3がナイフを振り回す伝説(ありちゃんの女装のシーン)も目が足りないぐらい良かった。白マフラー良かった。ありちゃんもよかった。

デュエットダンスは見ごたえのあるリフトから一緒に銀橋にいって、一緒にはけるのが近年なかったこれぞ、デュエットダンス!!という演出でよかったです。

 

なんだか慌ただしい公演ですが、無事に千秋楽を迎えられるように祈っています。

月組はその後OTTは東京で見たので、今回は見ないと思います。ゲバラは見るかもしれない。

そいつは俺の罪じゃねえ。@星組アルジェの男



 

完全に演目買いした今回の全ツ星組@相模大野。

演目発表からずっと楽しみにしてきた。

2011年月組版でアナベルとアンリ(今回はアンドレ)にきゅんとさせられ、ジャックのジュリアンに対する気持ちの大きさに新手の三角関係をみた。

自分の成長とともに視点が変わっていくのが面白くて柴田作品は出来る限り再演を追いかけている。琥珀シャロンやルイの良さが分かりだしたのは望海雪の時だったし、早霧雪でのコルドバエバの気持ちが分かる日が来るとは思ってもみなかった。

激情の月だけ生では見れていないんだけれど、こんな感じのスタンスで宝塚の芝居を見ている部分は常にある。

もし若い方がこれを読んでいたら、同じものへのアプローチが変わることを自覚できるこの趣味は10年後財産になるかもしれないよとひっそりと思っていることをお伝えしたい。

 





f:id:th07th:20190513182703j:image

 

※11日夜のアドリブが鳩サブレだったので。

 

 

11日・12日共に夜公演のみ観劇した。ショーではすごい手拍子もそろっていて、星組の新たな門出を祝う場に参加できたことはとても良かった。

今回のアルジェの男は一言でいうならばものすごく配役センスがいい。個々人のバランスが絶妙なのだ。そして主演をはじめ歌が上手い(従来の星のイメージ比)から集中できる。

 

前作フロリアンの時から白い役に野心が透けた人だなと思っていた礼真琴の演じるジュリアンは野心をむき出しに生きてきた人で、本来の持ち味なんだなと思った。時折役者の背景と真逆だからこそ安心して見れるのだなあとも思った。抜群にソロが上手い。だから周りの芝居を追っているときも聞きやすい。

あと星といえば揃える気のない自由形群舞で有名だと思うんだけど、このアルジェのプロローグはそろっていて圧巻だった。きっと群舞をそろえることに力を入れるスターさんなのだとお見受けした。

ジュリアンの話に戻ると、若さゆえの野心による身の滅ぼしみたいなこの王道の部分をちゃんと表現してくれていたなと思う。アナベルに女の喜びを…という提案しかりエリザベートのことしかり、頭はきれるし野心も十分だけれども少し青いから選んでしまうという絶妙な塩梅だったなと思う。

 

音波サビーヌは情愛の人。受け入れる度量の深さが印象的で、ジュリアンがアルジェを立つ時の頬へのキスシーンとその表情の美しさにほれぼれした。このサビーヌが愛するんだから、ジュリアンのことも見守ろう見たいな気持ちが開始20分で芽生えてしまった。歌も昔に比べたらうまくなっていたし、何より芝居中で歌うので役が乗っていたから気にならなかった。昔の男を追ってくる健気さとジャックを撃つだけの情熱がちゃんとサビーヌの中に同居していたなあと思った。あとパリとジャックに染まりすぎない余白というか芯の強さが見えて、全てをサビーヌという人物に込められる娘役芸の深さを感じた。

ジャックを撃ってからの芝居も圧巻で、最後アンドレが出てくることを完全に忘れて見られなかったぐらい。完全に泣かされた。

 

愛月ジャックはあの大柄な体と包容力でさぞかし芯のある悪人かと思いきや、ただのドグズで終わる。前回はジュリアンがトップさんでジャックが龍さんだったから「置いていかないでくれ」というような一方通行の気持ちを感じたのだけれど、今回はそうでもなく。やっていることがめちゃくちゃしょぼいガタイのいいクズで、ジュリアンとの関係は対等だった。変にジュリアンにびびったりせずに真っ向から向き合うジャックだなあと思った。

器の小さい役をやらせて初めて感じる、愛ちゃんの男役の度量の深さ。次はいつ会えるか分からないけれど、また見たい。月城愛月のハリーものがみたい。

 

紫藤ミッシェルの清涼剤としての機能が抜群で、ジャックの理解者として人選も最適だった。人の思惑が渦巻く社交界で、この人だけは信じていいという人が紫藤ミッシェルでよかった。一期違いの敵役とかいいと思うので今後に期待。

極美アンドレは芝居が短いシーンしかないんだなと2回見て思った。比重が下げられているのにラスト撃ったことを違和感ないようにしなきゃいけないのは大変だと思う。アナベルを軽々とお姫様抱っこをしていることに希望が見えた。

小桜アナベルは見たかったキャストの一人で、本当に期待通り。こんな可憐な子に手を出すか!?というジュリアンの非道さを強調してくれた。最後のソロも上手だったし、この人は身投げ以外に選択肢がないことを納得させてくれる芝居だった。古風な雰囲気がとてもよく似合う。

桜庭エリザベートはお名前ぐらいしか知らずに見に行ったのですが、期待以上。「嘘つき」っていうセリフだけで男を呪い殺せるような娘役さんもいる中、あれだけ泣きわめいているのに重すぎない。ヒロインしすぎないともいえるし、現代ものっぽい軽さのある感じがよかった。アナベルとの対比でこの人もまた可哀想だったのだと初めてわかった。

 

朝水ボランジュの優しくて素敵なオジサマ具合をはじめ、新しい星組になっても支えてくれるんだろう方々の活躍もよかったです。

 

ショーは礼音波のプロローグとデュエダンの手足のそろい具合に感動して、手を出す角度までこんな揃えてくるなんて!!という気持ちで今年一番いいデュエダンを見たなと思っている。

黒燕尾も同じ振りなのかな?本公演1回しか見ていないので分からないけれど。そろっていて、本当に星!?と思いながらやっぱり率いていく方の方針だろうと勝手に確信した。

あと瑠璃花夏ちゃんがめちゃくちゃかわいくて、次の楽しみになった。ロケットでウィンクする最下って有望すぎるでしょ。ロケット5人口にもいたし。

愛ちゃんは小桜ちゃんとのならびがよかったなあ。王道の宝塚な感じがする。

 

ということで星版アルジェの男楽しかったです。ジュリアンとサビーヌ、ジャックのパワーバランスが絶妙で、配役がいいということに尽きるのではないかなと思いました。

実はすでに次回大劇場の方はチケットを入手したので、星は久々に緩やかに見ていきたい組になりました。

 

 

 

 

「俺は」夢を売る男。@オーシャンズ11

4月20日、5月5日、7日と宝塚大劇場まで行ってマチソワ(新公含む)してきた。

7日には宙組風共以来5年ぶりに新人公演を拝見して、なんとも懐かしい気持ちを思い出した。

 

この作品は初演から全て見ていて、縁があり、悔しくもある作品。作品の質ではなく、個人としてあまり良い思い出がないので、桜木ベネディクトと新しい思い出を作りに行こうと思って遠征するに至った。


f:id:th07th:20190509141420j:image

 

今回のオーシャンズ11は2011年の星、2013年の花を経ての3回目の再演。

宙にははまりたてだが、初演から通っている作品の1つなわけで、幕が開く前からの情報量は多かった。

 

 

まあこんな調子で基本的に変更点予想は当たった。バシャ―のソロも歌唱指導もラスティだった。そして本編の新曲はオーシャンズ10だけだった。まあイケコが同時期にロミジュリとエリザをかかえていることは分かっていたから外部からの逆輸入とはいえ曲が増えたのは嬉しかった。6月からのエリザには変更点があるらしいと小耳にはさみ、複雑な気持ちになるのは私だけかな!?

この他の大きな変更としてはラスティの比重をあげること、ライナスはじめ学年とキャラクターにあったアプローチにすること、ベネディクト・ダイアナ・テスの関係性の整理(台詞の変更あり)フィナーレ全般ぐらいでした。しかもセットも花から骸骨の箱が消えたぐらいで大体一緒だし、ロマノフの秘宝がナイチンゲールにマイナーチェンジしたぐらいで、星→花の時ほどは変わっていないかなあと思った。

 

真風の苦みと余裕のある男役像がすごくいきたダニーとその相棒でチャラいところは否めない芹香ラスティは「相棒」感が今までで一番感じられた。星風テスは今までで間違いなく一番歌が上手いし、リピーターの耳に優しい。そして内面の葛藤を押し出した研10にして研2ビジュアルの和希ライナス、見たことのない新境地に挑戦する大劇役ソロ初の瑠風リビングストンほか11メンバー。大劇役ソロ1曲がはじめてなのは桜木和希もかな?初日明け20日にみた時から全然そうは見えない出来でした。

若手の優希・鷹翔モロイ兄弟も歌が安定していてよかったし、新人公演も安心して見られました。声も安定しているし今後が楽しみ。とりあえず歌が上手い宙新人公演をはじめてみた感動をお伝えしたい。

 

澄輝・蒼羽・純矢の今まで宙組を作ってきたメンバーが抜けるというのもとても寂しくて、でも客席もそれは一体となって思っているのかなという感じ。フィナーレの階段降りの拍手や本編登場時の拍手がすごい。

JUMPの時に和希ライナスにエースのカードを渡す澄輝フランクとかラスティの「俺もポーラにプロポーズ」の後にオフマイクで「俺も新しいことはじめよう」っていう蒼羽バシャ―(20日は言ってなかったから中盤から追加した模様)とか 本当に涙が出てくる。

和希ライナス絡みでいうと、寿ソールという宙組の魂から「跳ぶんだ」といわれるのが殻を破る時期の研10和希なのは妙に納得した。配役を見た時に学年的には研10で少年っぽい役くる!?と思っていたのでイケコの意図を測りかねていたのだけれど、バウもして一段とスタイリッシュになったところに和希の原点である少年役を当てることで「和希そら」の本質をブラッシュアップしようとしているのかなみたいな理解をした。そしてその声を掛けるのは宙組の魂である必要があったわけだ。

というのも凛城ソールが見たくてたまらなかったので(Twitterで騒いだはずなのに見つからなかった)実はあールーベンか。なんて思っていた時もありました。でも和希ライナスとの関連性しかり舞台でのルーベンのマスコットのような愛らしさしかり納得した。最後の方の変装のところの「さーせん、通りやす」と着ボイスにしたいひと絶対いるよね。

 

そして11の敵、この遠征の本当の目的桜木ベネディクト。

演目発表時はライナスとかでもおかしくないような感じだったし、妥当なところバシャー、フランク、リビングストンかななんて思っていた。まさかとか言ってるあたり、まあファンになる前のオーシャンズオタクとしての戯言なんですけど。

一言でいえばかっこよかった。前任の望海さんがこの役で大劇場の役付きがステップアップして今に至るのを多くの人は知っているわけで、というか当時花担な私は死ぬほどよく知っているわけで、プレッシャーは大きいと思うし今もあると思う。泥水すすって生きてきたようにはならないと思っていたし、望海さんの劇画調の芝居と似たところがないのは望海さんを十分に見た側からすると分かり切っていたので、でもじゃあどうするかというと桜木ファン研1なので分からない状態で観に行った。

私もお二人をなぞるのではなく自分なりの色で染めていきたいですね。お稽古の中で小池先生が新しいエッセンスを加えて下さっているので、お客様にもまた違った見方をして頂けるのではないかと。

このパンフレットの文言を読みながら、何を加えたか分かればいいけどという不安で一杯になった。役者のプレッシャーじゃなく自分の理解力への不安なのはさておいて。

新しいエッセンスは簡単にまとめると、ダイアナとの関係の簡略化(ビジネスパートナー感を出すためにファーストネームを呼ばない)、テスはのし上がる手段でもあるけれど一応女性としての認識はあり恋愛要素がある(キスシーンが増えた)、スーツが青、ベネディクト側もチーム戦(ラストのネバーギブアップの一言)といったところ。

青系スーツのおかげかスタイリッシュでむやみやたらに努力はしないけれど切り替えも早い頭のいい人な印象。黒塗りも初日近辺やスチールではかなり濃かったけれど、現在は少し濃いかなぐらい。髪型も二本の短い束があったのが、多めの一本の束が降りる仕様になっていてかっこいい。

おすすめシーンは若テス登場前に呼びに来た美月テーラーを顎で使うところと夢を売る男のラストで暗転前に「俺は夢を売る男」(取り出した指輪にキス)とですかね。一幕終わりの「JACKPOT」と耳にささやくところ(一瞬だから見逃すな)二幕のテスの部屋でのキスを拒まれた顔、「ナイチンゲールだ、はばたくぞ」の無邪気な顔ですかね。多いな。

あとは宙組の環境で前任二人よりもスポットライトに近いところにいたジェンヌとしての育成環境の違いはやっぱり役にも出ていて、おもしろかった。

 

 

とりあえずイケコが宙組版に加えたエッセンスはなんとなく読み取れたような気がしたので、あとは東京公演での変化を楽しみにしたい。

後フィナーレのリップ濃くない!?問題については引き続き検証していきたいなと思っています。

 

それでは今から美弥るりかと最後の邂逅をしてまいります(夢現みにいきます)

 

 

 

 

 

個人的に再演して欲しい演目

柚香の『メランコリック・ジゴロ』礼の『アルジェの男』
約10年前の真飛版・霧矢版が懐かしく感じるこのラインナップ。
全国ツアーや小劇場公演ではいわゆる昔の名作リメイクシリーズが流行っている。大劇場では新人公演シリーズが流行っている。なのでこの人にこれを!という私の要望備忘録をここらで書いておきたい。思いついた人だけ書いているので、個人差がすごいです。

 

愛月ひかる うたかたの恋。これはもう王道中の王道だし、本人もパソブで出しているのでやりたいんだと思う。最新のおとめにも書いてあった。あの肩幅は白軍服じゃん?
ショーはエンターザレビュー。酒井先生と絶対相性いいと思うから、ぜひ花に出演した際にはやって欲しいなと思っている。
あと個人的にバレンシアはこの人で見たかったので劇団は大馬鹿。たにのリメイク担当じゃん。風共のバトラーはいつかみたいですね。

 

珠城・鳳月・月城 太王四神記。輪郭雰囲気が実質再演説。虞美人もみたいです。

 

美弥・月城 銀の狼。殺し屋シルバと殺し屋に仕立てた男ルイ。タイプの違う男役が並ぶとこちらも作品が具体的に思いつきやすい。ついでに国務大臣ジャンルイは輝月ゆうまでお願いします。もっと涼風作品をやってほしかったよ…。


月城かなと 哀しみのコルドバ
破滅と相性がいいので哀しみのコルドバを推したい。持ち味的にはエリオでもロメロでもどっちでもいいけれど黒塗りがみたい。ロメロだとカレーニンと被るか。ビセント推しなのでそこに暁千星を持ってきたいけれど番手が狂う。困った。本当はアルジェやって欲しかったから既に困っている。
あと激情のドン・ホセも似合いそう。まあ激情はカルメンありきなのでしばらくやらなくてよろしい。

 

彩風咲奈 他組みたいに新人公演再びシリーズすると赤十字とか謎のコメディばっかりでごめんなという気持ちになる。咲ちゃんはベルばら役者だとは思っている。

 

朝美・永久輝 紫子。朝美に紫子は霧矢さんの時からずっと言い続けているので、やっと理想の風吹に巡り合えたなという感じ(私が)。身長がそこそこあって包容力も申し分ない感じがする。

後は、オーシャンズ11以来和希そらの紫子も推しているんだけれど、風吹がいない。

 

永久輝せあ 星影の人。次回で沖田みたい願望は叶ってしまうけど。

 

綾凰華 凍てついた明日。オギーがいないという話はしていません。あと踊れそうな感じするからパッサージュの朝海ひかるやろう!!まひるさんはみちるちゃんで!是非。


芹香斗亜 赤と黒
応援している人がベネディクトやっているときになんてことを言うんだと思う方もいらっしゃるだろうが、ダークヒーロー界の頂点は今この人なんだと思う。センターなのにダークヒーローな男役が見たいです。あと安蘭けいつながりで、エル・アルコンが見たい。

 

真風涼帆 ノバボサノバ。これはずっと言っているだけどオーシャンズやる暇あるならこっちでしょ。礼さん用?そんなのは知らない。

好きな人のブリーザがみたい派閥に属していますので、役がわりはメールブリーザマール版で何卒。
そろそろやりそうだなと思っているのは、長い春の果てにです。

 

礼真琴 ソウル・オブ・シバ。ダンサーのあのシーンが見たい。

  ロミジュリはお披露目なのか、だいもんファントムぐらいずらすのか気になるな。(やる前提)

  瀬央2ならブエノスアイレスの風も推しておきたい。

 

桜木みなと 本人希望だし、あかねさす紫の花(大海人皇子)は絶対みたい。落陽のパレルモのような、かっこいい男役の登場もしてほしい。だからけいこ先生に当たってほしい。昔壮一帆のお得意芸だった悪役×破滅にもチャレンジしてほしいなと思っています。正塚は一度得た印象をあまり変えずにキャスティングするから出来るかは不明だけど、234番手にいる極悪人、レジスタンス、殺人鬼、食えないやつもみてみたいです。

コパカバーナのリコみたいないかした悪?役もいいとおもうので、いつかコパカバーナやりましょう。

あとなんとなくカサブランカはくる気がする。

 

桜木みなとの欄だけ長いのはいつかとかじゃなく今すぐやれ!がつまっているからです。

ご清聴ありがとうございました。

演目妄想でした。

 

  

平成の最後にヅカオタとしての決意

2018年12月 宙組をゆるゆる応援しようといっていた私へ

決意が甘いと伝えてやりたい今日この頃です。

 

th07th.hatenablog.com

 これを書いてから4か月、2019年既に宝塚全組観劇しました。これは本当に桜木みなとで大丈夫なのか!?を検証に行ってきたという意味合いが主です。月はONTHETOWN、アンカレライビュ、花CASANOVA、星エルベ、雪ファントム、宙黒い瞳オーシャンズ11で月のお休み組の子を除けば全員一応見てきた。

宙だけ初博多座、ムラ遠征を決めているのはとりあえずとして、どんなにこの10年情熱的な時でも全組忘れず全部見るなんてことはなかなか出来なかったのに、年明けから4か月で達成してしまったこの情熱。多分、本物。

あとは昔の拠点であった雪、花が高齢トップ故なのか博多や中日が当たらず、初舞台公演もしてこなかったこともあり、東京でぬくぬく生かされてきたので、今の海外公演が回ってくるかもしれない宝塚を応援できるのかという不安もありましたが、飛行機という文明の利器の使い方をマスターしたので今後何が来ても?多分大丈夫です。英語と中国語は日常会話レベルなので何かあったら勉強しなおします。

 

今後の宝塚についていくための自分のポテンシャルを確認したところで、桜木みなとで大丈夫なのか検証を行っていく必要があるわけです。

前回も軽く触れたんですけれど、宙組との初めての出会いは薔薇に降る雨東京公演でした。勿論個体認識はしていないけれど。次がカサブランカ。名前と顔は分かっていたかなあ。インフルがすごくて代役に入っていた記憶がある。あとはクラシコでゆうひさんの少年時代もやっていたなあ。記者と皇帝の役付きよかったよねえ。ここから少しとんで銀英伝は思い出深い。我らが花の姫実咲凜音のお披露目のために観に行って、和希にはまって帰ってきた。新人公演もみたし、愛ちゃん派?りくちゃん派?というお決まりの質問に秒でりく!!と答える派閥の人だったので、きらきらなりくちゃんも素敵だった。その時に大好きなキルヒアイスをやっていたのがかの桜木みなとなんですけれど、赤髪のかつらのクオリティが低すぎて上手いのにどうした!?という記憶。風共も新人公演みたんですけど、アシュレが上田大歌舞伎の中で一番苦手というのもあり正直記憶にない。王家に捧ぐ歌もりくそらの話しかしてないし、ダンサーじゃないので見ていなかったというのが多分正直なところ。あとまあみりのデュエダンに号泣しすぎて記憶がない。

王妃の館で、初めてちょっといいな!と思ったのが戸川くんという役で、情けない声のトーンが音月だなっていう印象でした。そこから神々、天河、WWSとタイミングが合わずいけなかったので、スカステ相続人を鑑賞してからの白鷺の城・異人たちのルネサンスという流れではまっていきました。

相続人の肖像のノーブルな雰囲気に忍ばせる頽廃と一幕終わりの襟元を緩める仕草、「父さん」の声の音月み、古めかしいリーゼント、青年らしいローズの口紅は本当に良かった。とにかく宝塚に完璧な王子様より堕落していく男を求めている身としては最高だった。喫煙シーンの若手男役のぎこちなさが数年後様になっているのを見た時の喜び感とかを大事にしているので、そういう意味でも暗めで話題性は乏しいかもしれないけれど、お芝居の基礎になる作品が初バウでくるというのはいいなあとも思った。田淵先生は桜木みなとの多面的な部分を違う形で描いてくれるし、フィナーレは至極だけど、脚本の書き方勉強しような!!とも思った。

 

後からみた神々は作品そのものに魅力がありすぎたし、コンスタンチンとラッダにもっていかれたのもあるし、天河もしょたの血がティトを欲しすぎていたので、やっぱりはまった後でみるというこの出会い方でよかったのかなと思っています。WWSとアニータだけはつまらない意地と梅田という距離に阻まれたことを後悔するけれど。

 

出会いに関する検証しかまだ済んでないんですけれど、本題は他と見比べて本当に桜木みなとでいいのか?でした。本題に戻ります。

 

1月あけてすぐ見た月。私が1年降り先候補にしていた暁千星がいるわけですが、顔と踊りはやっぱりいいし、一スターとしては好きだけれど、組の布陣を見た時に苦み渋みが一生回ってこない気がしたのと(もちろんそんなことはないとは思うけれど)あまりに先が明るすぎて共に夢を見るには先が決まりすぎているなあという風に感じてしまった。

10年来の友人にはいつもトップになる子は教えてくれるしあたっているけれど、自分では応援しなくない!?と痛いところをつかれた1月でした。

アンカレはライビュだし、作品のおたくなので個のスターについては特にないです。月城かなとかっこいいよね。

 

1、2月にみたファントム。私の中で謎のシャンドン彩凪ブームがおきた。95期の最推しであった朝美絢をもう一度見ておかなくて大丈夫か!?ということで観に行ってきたんですけれども、私が好きだった時代は本当にまだ役がつくかつかないかちゃぴが男役だったそんな時代なので、やっぱり育った環境にあらがえないんだなと思いました。成長前の方が好きだったということです。ジャニーズ応援しているとそんなことざらだよね。

でも顔面的には雪の望海からはじまる彩彩朝永久綾が超絶最高なので組としては見ます。綾くんのコロコロした声には可能性を感じるし、彩彩には昔の男の血が流れているので見ないわけにはいきません。

 

2月のエルベ。これは少しだけ革命が起きた。ガイズ以来の星ということで全然下級生がわからなかったのだけれど、フロリアンブームが到来した。私が、宝塚の男役に求めているのは、こういう役という王道の形。これを無難におさめず野心を見せる礼真琴いいよ!この役が似合う男役を推したい。そう感じました。踊りも歌も出来るしスーパーマンかよと思いつつ素はそうでもないんだよね。とはいっても礼真琴は何にも代えがたい1番のイメージなのであえて推す必要がないなというところは1月の暁事件と同じですね。

他に良いなあと思ったのが数年ぶりの紫藤の安心感と壮ー月城に凰稀を混ぜたどうみても雪風味の顔に星の超絶スタイルの極美くんです。あれは顔枠。これからも見たい。

 

3月のCASANOVA。古巣に戻って参りました。これと言って目新しい男役の発掘が一番できなかったのが花だったなあ。ちなつさんに持っていかれたのもあるし、一周回ってくると花娘って全然他と違うんですよね。花娘っていう芸術。娘役を見てしまったなあ。しかも男役で一番印象的だったのは柚香。いや二番手じゃんか!!!というセルフツッコミがとまらない。歌はさておき、芝居の時のオーバーな表情の真飛感が懐かしさを感じさせ、踊りは痒い所に手が届く。もともとダンサー推しなんですよ、私。DVD観劇時代は朝海ひかる水夏希が中心でして、キレの良さというよりはその人の芝居と男役がのったダンスが見たいんですね。フィナーレだけ何度も見たい。ダンスに満足できなくなったら花を見るよという誓いを柚香に立て劇場を後にしました。

 

殆ど95期の話しかしてない。なんてこった。

 

最後に宙組のはなしをします。組内で降りることになっては元も子もないので熱心に検証しました。

黒い瞳オーシャンズ11では新公外で気になった男役は逆に和希そらちゃんだけなのでこの話は後に回しましょう。りんきらさんに関する思い出とまりなの顔がイケメンの話と真風の顔が似ている話、芹香の話は10年し続けてもなんの進展もないので放置。いつも同じ結論に至る。

組の雰囲気も嫌いじゃない。花出身の朝夏政権後だからか郡舞も昔よりそろっていて好印象。コスチューム物が多くなりそうなことだけがスーツの女Sとしては残念だけれど、今オーシャンズだし問題なし。

黒い瞳のシヴァーブリンは小悪党という感じで表情のつくり方や立ち回りが堪能できました。最後の雪の男がすっごいかっこいいんですわ。真っ白い衣装が大好き。金髪が本当にかっこよかった。VIVA!FESTA!はフィナーレAにつきる。蘭寿さんの衣装がこれまたきれいで似合っていました。この人の歌を聞いていたいという気持ちにさせられたのは長いヅカオタ生活でもほとんどなかったシチュエーションでした。

 

ちなみに若手ではしょた枠の愛海くん、ダンサーの優希くん、私が昔好きだった誰かの声に似ている枠真名瀬くん(誰か教えて!!)が気にはなった。がこの人を通して宝塚をみたいとまでの情熱を感じられるほどではないかなあという感じ。優希くんは私が好きだったころの研4・5のそらちゃんに似てるからぐらぐらくるんだけど、そらちゃん自身も今回ライナスでプロショタ先輩として頑張っていらっしゃるので訳が分からなくなりそう。まあ100期気になる問題は3年後ぐらいの自分の課題として持っておきます。

 

結局のところ、前回のブログで危惧していたように?そらちゃんが一番説明がつかなかった。だってもともと好きだし、今も好きだし。朝美事件と同じようにしょたみがなくなったからと片付けようとしたらライナスのあの芝居だし。だからここからは取捨選択というより、どちらも好きだけど名乗るならどっちかなという話です。こういうとこジャニオタですみません。すぐ名乗りを上げたがる。

若手とだったら最悪気持ちの上でかけ持ってもいいし(ファンクラブの話はしていませんのであしからず)、謎の御近所枠(地方出身の方なら同じ県の出身者とかのイメージ)とかかわいい娘役枠とかは私にもありますしね。

今まで舞台上の男役としての姿のみで語ってきてあれですけど、最後の決め手はジェンヌとしての生き方だったように思います。舞台の上しか基本的には興味がないんですけど、覚悟が定まっていないで辞められたら終わりじゃないですか。そういう苦い思い出を基に最終判断にはインタビュー記事とかスカステを用いながらこれで大丈夫を確信していきました。そらちゃんがダメなのじゃなく、他のみんながダメなのじゃなく、私が桜木みなとの見る宝塚を見たいと思いました。

ご本人が掲げる「恋をしてもらえるような男役」という理想を追いながら、ゆっくりと宝塚を中でも宙組を見ようと思います。

 

 

若し最後まで読んでくださった方がいたらありがとうございました。

他の人について言及した箇所を除いて、ご本人様への「送られなかった手紙」を再利用してまとめました。とりあえず深夜の手紙を出さなくてよかった。

 

担降りってなんだっけという話

2018年11月29日 宙組 白鷺の城/異人たちのルネサンス 観劇

   11月30日 Love-tune 退所発表

 

 2018年いろいろなことがあったけれど、4・5月のBADDYをきっかけに数年ぶりにヅカオタ現役復帰した。ひかりふる、BADDYと雨唄・ラスパとエリザ、白鷺しか演目は見ていない。2017のグラホ、王妃、幕末、琥珀・ネモ、2016のエリザ、るろうに剣心、2015のコルドバ、ガイズ、星逢、王家のラインナップをみるとそんなに変わった感じはないけれどスカステと友会に入ったのでやっぱり違うのかもしれない。

 

 贔屓はいまはいない。昔みたいな情熱は捧げないし、作品を俯瞰してみることの面白さと一人の人の出番(ソロがあるとか役付きだとか)の面白さを両立できるほどの器用さはない。

 だから今年のまとめは月は月城暁、雪は彩風朝美永久輝、宙の和希は気になるよね。娘役は数年前のるろ剣から彩推しを公言しているけれど、天紫ちゃんに出会えたしららちゃんのことを思い出した。まあでかい組替えは来年だな!みたいなそんな平凡な感じで終えるつもりだったのだけれど、最初に書いたように自担の退所発表と宙観劇がかぶり時空がゆがんでしまった。ジャニーズJrから宝塚に担降りしそうなのである。自担が辞める時が来たら、万年推し枠の佐久間くんにはいかずに絶対他にいくだろうというのは予想していたけれど、自分でもよく分からない。ジャニーズとは数年距離を置く時が来たのかもしれない。

 

桜木みなとに担降りしそう。

 

 歴史を語ればそれは長くて、初舞台や初役付きからなんだかんだ目で追ってきたし、何度か新人公演も見ているよく知っているはずの下級生?に担降りしそうなんだ。しかもタイプじゃないはずの。自分で記録を残している王家のブログも下級生であるはずのそらの話ばかりしているのだけど、それは好き嫌い以前に93期を推す人として蒼羽の処遇に腹が立ったから多分書いていないんだと思う(頭抱え)

 そもそも宝塚はダンサーが好きだから水・蘭乃・蘭寿筆頭に踊れる人ばかりが好きで、例外的に壮さん・愛音さんの芝居は好きだったけども。

 

桜木みなと踊れないじゃん。

 

 いやほんとうにそれ。贔屓としても降り先候補に入ってなかった。なんなら95期の私的ソートは初舞台から昨年ぐらいまで朝美が一番だ(今年月城が抜いた)万年私的三番手だったはずなのに本当に解せない。

 ただ、踊れないところを除けば過去の好きなスターとは結構共通点がある。まず目が細い。自分の顔のコンプレックス故なんだろうが目が細いスターのほうが高確率で好きだ。次に青年の色気と堕落を得意とする。これに関しては私の好みは植田景子と大体一致するので作品を見てもらえば早い。(久美子作品における鳳月、怜美ポジが植田景子の愛音羽麗なんだけれど一度見てほしい。舞姫。)闇落ち専科、死専科と呼ばれる路線独特の儚い色気を纏った堕落が最高に好きだ。そして身長。でかい男役は基本的に好きではない。身長がない分の努力の部分が好きだからというのと下級生なら子役娘役もできるかで後の役幅に影響するからだ。公称170だと気持ちでかいけれどまあ許容範囲だ。アニータやれたし大丈夫。最後にルドルフ役者。ルドルフが好きすぎて記録をつけているほどの人間なのでこれはたまらない。10年同じ役を愛するって結構大変だけど楽しいから若い子にはぜひやってほしいのだけど、ルドルフを演じる役者が好きというイケコの配役センスに全てを任せた好みも一致した。宙エリザを買った方がいいと言ってきた友人たちは最後の沼に落としたと思うので、あとで責任を取ってほしい。

 踊りに満足できなかったらもうシンメのそらをみればいいじゃないか!という開き直りもあり、とりあえず担降り?決意?ブログをかいてみた。

 

 組ごと愛して見守るのが私の宝塚応援スタイルなので、作品のすべてを見守るのは月に託すことにして、ジャニーズの新しいグループぐらいの感覚で毎度アイランドを見に行くような気持ちで宙とずんそらを見守っていくことにする。